アメリカでのオーディションに欠かせないresumeと呼ばれる書類。いわゆる履歴書ですね。
今回は私が実際に使っているresumeを元にしつつ、AMDA(アメリカにある演劇学校)で習ったresume作成のイロハや実際に役者としてアメリカで活動しながら学んでいったことを交えつつ、アメリカで舞台のオーディションを受ける際に使えるresume作成の基礎を解説したいと思います。
「アメリカで役者になりたい!」という方にも、ブロードウェイファンで裏側が知りたい、という方もぜひ。

はい、いきなりですがこれが私が実際に使っているresumeです。宣材写真を入れている方もそこそこ見ますが、私は予算削減の都合とまぁ宣材は裏に貼ってるしな、ということで入れていません。
まず重要なのは名前ですね。可能な限り大きめに入れます。素敵フォントにしたい気持ちをグッと抑えてシンプルで読みやすいフォントを選択。
ただ、そこそこのパーソナリティは出したいので好きな色かつ自分らしい色ということで紫とローズピンクを名前とカテゴリーに使用。
そして次に重要なのは連絡先。ここでは個人情報保護のため消していますが、私は連絡用にメールアドレスを、見つけやすいように名前の下に入れています。
電話番号も一緒に記載してる人も多いですね。また、エージェント(いわゆるマネージャー)がいる人やエージェントの連絡先、AEA、SAG-AFTRA等の俳優組合に入っている人はそのステータスを目立つ上の方に書いている人がほとんどです。
さて、次にベーシックな情報を。衣装を追加発注しなくて済むように特定の身長の人を探している、という場合も多いので身長の記載はお勧めです。ミュージカル志望の方は音域(altoやtenor等パートだけでも)の記載もしておくとキャスティングの際のバランスの見極めに便利かな、と思うのでこちらもお勧め。ここに髪色や目の色を記載してる人もいますが、私はやっぱり裏に写真張り付いてるしなってことでカットしています。が、そこは個人の裁量かなと。
続いてresumeの大部分を占める経歴の部分。私は元々Theatre、Off-Broadway、Screenの3カテゴリーに分けていたのですが、出演作品(通常creditと呼ばれます)が増えてきたのでカテゴリーを1つ削ってTheatreとFilmの2つだけにしました。resumeの一番大事なルールとして「1ページ以内に収める」というものがあるので、creditが増えてきた場合は例えば有名な演出家や大きい劇場での出演、プリンシパルでの出演等のcreditを優先的に記載して、入り切らないものは省いてしまいましょう。
Creditの記載としては基本的に左から作品名、役名、演出家と劇場名、もしくはプロデュースカンパニーの四点(最後二つはまとめての記載が多い。)
記載の順番に関しては割と人それぞれな印象を受けますが、時系列(一番上に一番最近の作品が来る)、もしくはcreditの大きさ順(役の大きさや有名な劇場でのcreditを最初に記載)の二つを多く見ます。
私は二つのミックスでスウィングの経験をアピールしたいのでそれを一番上に、その後は時系列で、日本での出演は一番最後に記載しています。(やっぱりアメリカでのcreditの方がわかりやすいと思うので)
次の項目は通常学校とレッスン歴のことが多いです。学校名に関しては演劇と全くない学校を卒業した場合は省いても良いかと思いますが、演劇科や音大卒の場合はしっかりここでアピールしましょう。
私はスペースの関係で学校の先生もその他スタジオの先生もまとめて記載していますが、別のカテゴリーを作っている人もいるのでやっぱりこれも好みかと。カテゴリーもこれは結構みんなバラバラな気がします。ここにブロードウェイスターの教えるマスタークラスやワークショップ、有名な学校の合宿等を記載している人もいますね。
最後は大抵special skills、いわゆる特技で締める人が多いです。
パスポートや運転免許証の有無を問われることもツアーや地方公演等ではあるのでここに記載しておくのがお勧め。アクロや殺陣、楽器等の特技があればガンガンアピールしましょう。アクロの場合は何ができるか(側宙、ロンバク等)まで書いている場合が多いです。その他の特技はどのくらいのスキルか(beginner, intermidiate, advancedのどれか)の記載もしておくと良いかと。英語の他に喋れる言語や(ここでもbasic, conversational, fluent等のレベルを書いておく)アクセント(ニューヨーク訛りやコックニー、スコティッシュ訛りなど)もあれば書いておきましょう。例えばNewsiesやWest Side Storyではニューヨーク訛り、My Fair LadyではコックニーもしくはPRアクセント、Shrekのシュレックやハリーポッターのマクゴナガル先生はスコティッシュ、ParadeやOklahoma!では南部訛りなどが使われるので元々できる人には加点がつくからです。ジャズやバレエに加えてちょっと特殊なジャンル(社交ダンスやラテン、ブレーキングダンス、民族舞踊など)が踊れる人やバレエ歴が長くポアントで踊れる人もここに記載しておくと良いアピールポイントになるかと思います。
ここの最大のポイントとしては嘘をつかないこと!私も特技が少ないのがコンプレックスですが、あくまでも正直に書きましょう。 あとで「resumeに書いてたからできるよね?」と言われて泣きを見るだけならともかく、演出家さんや振付師さんの信用を失ったら今後の仕事に響く可能性が高いです。
この業界、どこで誰と誰がつながっているかわからないかつ、自分が商品である以上自分の名前に信用を乗せていくのが大切だということを忘れてはいけません。
と、偉そうに色々言いましたがあくまでこれは私の経験を元にした一つの目安に過ぎません。
ただ、なかなか日本語でこういう情報をゲットするのは難しいかと思うので「アメリカで役者になる夢を追いかけたいけど学校に行くお金もないし、どこから始めたらいいのかわからない…」という方の助けに少しでもなれば幸いです。
Google検索でも役者用のresumeに特化したテンプレートはたくさん出てきますし(私も実際にテンプレートを使って作成しています。)色んなresumeを見て素敵なところを真似してみたり、オーディションの場数を踏んでいくにつれてresumeもブラッシュアップされていくかと思うのでぜひものは試しに!と挑戦してみてください。
お読みいただきありがとうございました:)


