Mamma Mia! 10/29 マチネ


10年ぶりにマンマミーアがブロードウェイに戻ってきたということで早速見てまいりました。

大学終わりに劇場に向かい、到着したのはなんと開演10分前。 ドキドキしながら「当日券まだありますか?」と聞くとメザニン2列目のほぼドセンが59ドルで出ているとのことで購入。

ウィンターガーデンのメザニンはなんだかんだ初めてだったのですが、中々舞台から近くて見やすかったです。

あらすじはみなさんご存知だとは思いますが、一応さらっと。

ギリシャのとある島でシングルマザーのドナに育てられたソフィは、自身の結婚式を直前に控え「父親とバージンロードを歩きたい」という思いを募らせます。しかしいくらドナに聞いても誰が自分の父親なのかを教えてはくれません。そこでソフィはドナの日記を盗み読み、自分の父親候補が3人いることを突き止めます。3人のうちの誰が自分の父親かをはっきりさせるべく、ソフィはドナの名前を騙って3人に結婚式の招待状を贈ることに。「ドナから招待状が!」と浮かれて島にやって来た父親候補3人と遭遇したドナは自分の(結構やんちゃしてた)過去の恋愛黒歴史が一気に襲って来て大パニック、片やソフィーも父親候補3人全員が自分がソフィの父親だと思い込み、バージンロードを歩くのだと張り切り出しててんてこ舞いになるのでした…

作品自体は劇団四季で2回見たことがあったものの、英語での観劇は初。(映画は見たけど)そして最後の観劇が4年前というのもあって中々新鮮な気持ちで観ることができました。

まず一番最初におぉっと思ったのがソフィーの髪型がベリーショートだったこと。日本ではボブがデフォなのでちょっとびっくりしたのですが、ソフィの性格に合っていて私はかなり好きでした。ただこの日はソフィーがアンダースタディーの方だったのでたまたまだったようです。

演出、振り付けと共に日本版とほぼ一緒。ただセリフは日本版と比べてさらにストレートな下ネタが多いような気がしました。

例えば私が好きだったのはターニャが簡易ベッドを膨らませている時にロージーが言う”You have to blow. Not suck”というセリフ。(若干言い回しは違うかも)

日本語版よりも結構ダイレクトな性的表現だな、と私は感じました。

それから2幕でペッパーに「私あなたのお母さんくらいの年齢よ」というターニャに対してのペッパーの「じゃあ俺のことをオイディプス王って呼んでよ」のセリフ。日本語版にあったか思い出せないのですが、知らずのうちに実の母親との間に子供を儲けてしまっていたオイディプスにかけたこのジョークはかなり巧いな、と思います。(偉そう)

それからハリーブライトakaヘッドバンガーネタ。全編を通してかなり、何回も、そして色んなキャラに擦られていたのにさっぱり覚えていないと言うことは日本語版には無かったのではないかと思うのですが(私の鳥頭によって記憶が抹消されている可能性もかなりあるが)おじちゃんおばちゃんたちがヘドバンしまくる光景にはかなり元気をもらいました笑

セリフではないのですが一つアメリカのプロダクションで腑に落ちたのがMoney Moneyの振り付け。劇団四季版では「振り付けを見ているな」という感じだったのですが、さすが普段からジェスチャーが大仰なアメリカ人。こちらも「演技の延長」という感じで振り付けの解像度がかなり深まったのが良かったです。

逆に残念だな、と思ったのはソフィたち3人組とお母さんたち3人が再開した時のシンクロハンドシェイク。ドナのDNAがしっかりソフィに受け継がれている感じや幾つになっても「いつメン」のノリが抜けていないところが好きだったのですが、コンプロダクションでは普通に「きゃー!」って盛り上がって終わってました。寂しい。

それから日本語での詳しいセリフは覚えていないのですが、ロージーがターニャの離婚歴を揶揄うセリフ、日本ではかなりウケていたと思うのですが、英語だと割とシンプルに「だからあなたは3人も旦那がいるのよね」でパンチラインとしては弱く、あまり笑いも取れていなかったな、と言う印象です。

それからこれは完全に阿久津サムの影響でヴレヴのサムの「ドナなんか怖くないさ!…あまりね」がかなり印象が強く、面白セリフだと捉えていたのですが、英語だと「あまりね」が”much”とかなり短く、それが故に割とコーラスにかき消されて流れていたのが勿体無いな、と。

キャストさんもみんな素晴らしく、体型も年齢も人種も様々。歌や芝居が上手く、コメディとしてのテンポ感も最高だったのはもちろんのこと、歌い方や喋り方、佇まい一つとってもみんな個性があって結構ぶっ飛びストーリーラインの割に妙なあるある感と親しみやすさがあってどのキャラクターも大好きになっちゃうような素敵なパフォーマンスでした。特にドナがかなりロックな歌い方で、「あれ、歌がもう始まってる?」と思うほど自然なセリフから歌への移行が素晴らしく、ジュークボックスミュージカルはセリフと歌の繋ぎ目ががたついていることが多いのであまり好きではないのですが、本当に感情が高まってセリフだけじゃ追いつけなくなって歌になる、という演技の延長としての歌唱で、かつ「綺麗な歌声」と言うよりはちょっとハスキーでまさに「魂の叫び」のような歌声は1人で苦労してたくさん傷を負いながら肩肘張って生きて来たドナの人生が垣間見えるようで素晴らしかったです。それから特にドナとターニャのおふたりが、楽譜から大きく外れてはいないのにopt up盛り盛り、かなり自由に歌っていてトラディショナルなミュージカルの歌い方から外れていたのが、キャラクターにもABBAの楽曲に合っていてかなり好きでした。

キャスティングで一つ気になったのがドナに比べてパパs老けすぎじゃね?ってとこなのですが(ドナはかなり若々しかったもののパパsはみんな基本白髪でドナより10歳くらい年上に見えた)Mamma Miaでのトリオが始まった瞬間の声圧が凄くて全てどうでも良くなりました。

それからそんな結構おじさんとおじいちゃんの境目に見えていたビルがTake a Chance on Meで脱いだ瞬間バッキバキで観客がめっちゃ沸いてました笑 それから真上にぶん投げたジャケットがたまたま椅子の背もたれに綺麗にかかっててここでももう一盛り上がり。ライブシアターならではで楽しいですね。

話のツッコみどころはまぁまぁあるし(母親の…な日記を音読できるソフィーのメンタルやべぇな、とか)そんなに深いメッセージがあるでもない(個人の見解です)ものの、だからこそ、何も考えずに笑って盛り上がって「あー楽しかったね!」って笑顔で帰れる良いプロダクションでした。

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