5月8日にエルファバのOBCやエルサでお馴染みのIdina Menzel主演の新作ミュージカル、Redwoodを見てきました。
Idinaが8月まで続投、というアナウンスがされてから1ヶ月経たないうちに千秋楽のアナウンスがあり、15時代でもRushチケットが残っていたため「ガラガラなのかな…?」と思っていましたが1階席から見る限りかなり満席に近かったように思います。
ちなみに本日のRushチケットは最前下手端でした。
特に原作等なく(多分)オリジナルのミュージカルのため「Idinaが気に抱きついてるミュージカル」みたいな薄ぼんやりした前知識のみで観劇。私が大好きなDEHのOBC LarryであるMichael Park氏含めDEHの元キャストさんが沢山出ていたのが個人的には嬉しいポイントでした。
見た感想を一言でまとめるとするなら「DEHとN2Nの合いの子みたいだな」ですね。
あらすじをざっくりとまとめると息子を亡くしたJesseがその悲しみと自責の念に耐えられず、パートナーMelを置いて1人カリフォルニアの森に逃亡。(いきなりキョーレツ)そこでStellaというredwoodの大木と出会い、森で樹木の研究を行うFinnとBeccaの指導のもと彼らと共に木に登るようになり、息子の死と向き合っていく…という感じです。
休憩なしの一幕もの、主演のIdina Menzelは基本で突っ張りでした。木に登ったりなんだりしつつかなりの曲数歌っていたものの、あまり休演の話は聞かず、さすがベテランすごいスタミナだな〜と。
物語は私は結構好きでした。いきなりネタバレで申し訳ないですが、結局最後のオチというかコアメッセージとしては「redwoodは倒れて死んでしまった他の木を養分にして新しい命が生まれたり成長したりする。誰か大切な人の死を胸に、それをバネに前に進もう。」的な感じ。Spencerが母Jesseに向かって「母さんはまだ生きてるんだから、僕に囚われてないで自分の人生を生きて」と歌う“Still”という曲、メッセージも、Spencerを演じるZacharyさんの歌声も芝居も素晴らしく大変感動して劇場でボロ泣きしたものの、メロディを覚えてるかと聞かれたらおそらく「曲が終わって5分経たないうちに忘れてたかな」という感じです。
そう、何を隠そう、印象に残る曲がなかった!
一言で言ってしまえば「お前らIdinaのベルティングが聞きたいんだろ〜???思う存分聞かせたるわ〜!!!」みたいな曲が多かったな、というのが個人的な感想です。基本的にJesseの曲の音域がIdinaのフルベルト音域一辺倒だったのかな。メロディの良し悪しとかよりも「みんな歌上手いな」が勝ちます。
まぁぶっちゃけIdinaありきの作品でほぼ当て書きなんじゃなかろうかと思うし、他のキャストさんもみんなビックリするくらい歌うまかったので狙い通りといえば狙い通りなのかもですが。
それから私的に好みではなかったのは演出ですね。真ん中にでっかい木どーん!の舞台セットは良かったんですよ。ただ!後ろの背景の偽物感がすごい!ザ・LEDライトパネル!せっかく木の趣が良いのに後ろのスクリーンで全てが平坦な印象に。Stella以外の木も作って、昼夜は映像ではなく照明とフェアリーライト的なもので再現してほしかったな、と思います。(フェアリーライトの星空大好き芸人)ただ、森(現実逃避)と現実のシーンを行ったり来たりしていて、Jesseが逃げまくっている現実は白ベースで無機質な、研究室のような病室のような雰囲気だったので(閉塞感がJesseの精神状態を表しているようで良かった)、その場転を考えるとあれが1番現実的だった、というのもわからんでもない…ただ、Floyd Collinsの時にも同じように感じましたが、私はTina Landauさん演出作品の舞台の余白感が趣味と合わないんだろうな、と思います。これは好みの部分が大きいと思うので、ぜひ他の人の意見も聞いてみたいです。
さて、この作品の目玉「木登り」(と書くと阿呆そうですが)Mel役のDe’adreさんを除く全キャストがなんか腰にベルトやらなんやらを巻いて(ロッククライミング的な感じで)木に登ります。「おぉ、すごい」と思うと同時に「え、Michael ParkさんとIdinaウチの親の年齢だよね?50代とかだよね?腰とか大丈夫そう?」と余計な心配が笑 空中でとんだり、宙吊りになったりしながらガンガン歌う様子はさながらシルク・ド・ソレイユ。どのくらい四肢の筋肉に負担がかかるのかはさっぱりですが、あれだけ支えのない状態で軽々と飛び回りながら朗々と歌い上げていたキャスト陣はいかにも「ブロードウェイの精鋭のみを集めました」というような感じで圧巻でした。「うーん、これは結構事故とか怖いかも」と、途中で某蜘蛛のアメコミヒーローミュージカルに想いを馳せたのは内緒。
息子Spencerと同い年の青年を見るたびにSpencerの姿がフラッシュバックするJesseの追い詰められ具合がSpencerを演じるZacharyさんが1人で何役も演じ分けることで再現されていたりと母子の関係やその描かれ方がかなり生々しくて力強かったからこそ「もうちょっと練ればメンタルヘルス系ミュージカルの中でもかなりユニークで面白い存在になったかもしれないのにな」と惜しい気持ちが。
作品自体はクローズしてしまいましたが、サウンドトラックはリリースされているのでぜひ🌳
(終演後にStagedoor対応してくれたIdina Menzel姐さん)