12月23日ソワレと27日ソワレで、1月5日でクローズしてしまうBack to the Futureのブロードウェイ公演の見納めをしてきました。
全米ツアーもやっていますし、日本公演ももうすぐ開幕しますが、オリジナルブロードウェイキャストのCasey Likes君のマーティマクフライが大好きなので「これが終わったらもう一生観れない!」と、2023年に観た初回を含めて何やかんや言いつつ結局3回も観てしまいました…
23日はrush ticket(partial view/見切れ席)で27日ソワレは立ち見。それぞれチケットは$40。
Rushの見切れ席は前方オーケストラ席なものの舞台後方がかなり見えにくかったので3時間弱頑張れるのであれば立ち見の方が個人的には見やすかったです。
そしてBTTFは映画ファンが多く普段観劇してる層の割合がそこまで高くないのか午後まで当日券が残っている印象です。
あらすじは基本的に映画通りなので省略。目立った変更点といえばドクの死因が銃殺ではなくプルトニウムによる被爆になっているところ、ジョージとロレインの出会いのきっかけが「ロレイン父がジョージを車で轢いた」ではなくて「ロレインの部屋を木に登って覗き見してたところ木から落下。ロレイン父に助けられる」になっているところくらいでしょうか。残念ながらドクの愛犬アインシュタインも出てきません…🐾
私個人の全体的な感想としては「エンターテイメントとして最高。セットも派手で衣装も華やか、会話のテンポ感もよく、ディズニーのアトラクションのようなワクワク感もあり、スケールが壮大で普段観劇しない人でも楽しめる。」反面「“演劇”として見るとメッセージ性が弱く、キャストも素晴らしい人と映画のモノマネのように見える人とがおり、印象に残る曲が少ないうえ物語の進行と全く関係のない曲も多く登場人物の内面を緻密に描けていない」といったところでしょうか。
以下細かい感想とオタクによるCasey君語りです。
マーティ役のCasey君が芝居がかった動きが様になっていてかっこいい。最初から火花散ったりスピーカー壊れたりド派手かつ印象的なギミックが盛り沢山でワクワクします。
マーティの”Rock ‘n’ roll”を合図にOnly a Matter of Timeがはじまるのも最高にかっこいいです。そしてここのCasey君の主演、座長としてのオーラとカリスマ感が半端ではないです。軽率に推したくなります。
映画でもお馴染みのノリのいい曲にカラフルな衣装、派手なダンスといかにもミュージカルのオープニング!な感じのオープニングなOnly a Matter of Time。
一つ気になるのがマーティのマイクの音量。
オケも大きいしアンサンブルのマイクも大きいので数の暴力で若干埋もれるのが勿体無い。
というかこの曲に限らず他の曲でもソロで歌っている人のマイクの音が小さく(というか周りの音が多分やたらデカい)歌詞が聞き取りづらかったりせっかくのソロが目立たないのが残念だな、と。音量が大きくて迫力があるのは楽しいんですけど…
何はともあれCasey君の突き抜けるようなラストのハイトーン素晴らしかったです。
そういうわけにもいかないんだろうけど別にジェニファーパーカーとのシーンはなくても良いんじゃないかな?というのが正直な感想。そもそも「現代」にいる時間が短く2人の関係性が見えにくいので「彼女が僕の全てなんだ!」と言われてもしらっとしてしまうのです。いっそバッサリ削って「マーティとマクフライ一家の負け犬人生」に焦点を当ててしまうのもアリではないかな、と。ジェニファー役の方がものすごく芝居がかった大仰な芝居をしていた、というのもそう感じた理由の一つかもしれませんが…せっかく素敵な歌声なのにおそらく映画に寄せることを意識しすぎてくどくなっていたのが勿体無いな、と。
と、ここで私の1番のお気に入り、マーティが自分の家族の不甲斐なさと「自分もこのまま底辺の人生で終わるのか?」という苛立ちを歌ったHello Is Anybody Home?がやってきます。私はCasey君の歌うこの曲を聴くためだけにチケット代を払っているといっても過言ではありません。
WEでもマーティ父ジョージマクフライを務めたHughさんが抜けて23日は2代目のEvanさんがジョージ。実は私3年前(恐ろしい😱)のお正月に彼のシーモアをオフブロードウェイで観ているのです。stagedoorで出待ちした時にそのことをお伝えして2人で「ジョージとシーモアって似てるよねぇ〜!」と大盛り上がりしました。ヒルバレーの彼方にうっすらスキッドロウが見えました。かなり背が高くヒョロヒョロの長い手足はうっかり折れてしまいそうでいじめられっ子のジョージにピッタリ。妙に動きがキレッキレなのもまた面白い。ただオリジナルのHughさんほどのキョーレツはなかったかな、という印象です。
27日はTikTokでも有名なJJさんがin。「かなり若いし陽キャっぽくてジョージのイメージもないけどどうなんだろう…」とわくわくドキドキしていたのですが話し始めた瞬間「え、誰…?」レベルの見事なジョージマクフライ声!時々ダンサーさんならではの動きの機敏さや身体の軽さが出ていたり、u/sの分役が身体に馴染んでいる感じは薄かったものの引き出しの多さにビックリしました。
ちなみにマーティの兄であるデイヴを演じているのはフィリピン系のAaron。いわゆる「白人の役」であるマクフライ家にアジア系がいるのがとても嬉しかったです。
初見の時にマーティの“Right big brother”というセリフを聞き逃して「なんでこのハンバーガー屋の配達員のお兄ちゃんはずっと他人の家に居座って自分の人生について語ってるんだろう…あ、なんか色々やり出したし…まぁミュージカル補正なのかな…」と不思議に思っていたのはナイショです。(数シーン後に兄弟3人で撮った写真が出てきて気がついた。)
マーティの姉リンダマクフライはOBCの方が抜けてしまったので2代目の方。リンダはいかにもアメコミとか海外ドラマにいそうなでっかいメガネかけてガムくちゃくちゃしてて何なら昔矯正してた姉って感じで大好きだったのですが新しいリンダの方はものすごく幼い演技をしていて「あれ、マーティより年上だよね?」と困惑しました。初演の方の方がサバけていて男2人より強そうな真ん中っ子長女って感じで好みです。
母親ロレイン役のLianaさんはNewsiesリユニオンコンで一度拝見してます。可愛い。
初見時、そしてサントラを聴いてる時にはロレインの”♪There was something about the boy”は昔を懐かしんで「ジョージあの時はカッコよかったんだから♡」みたいな惚気かと思っていたのですが2回目で「昔は輝いてたのに今じゃこんなに情けない男になっちゃって情けない…」という失望を歌っているから過去形なのか!ということに気がつきました。不甲斐ない夫との人生に希望を見出せずに酒浸りのような生活を送る姿には溌剌としていた昔の面影はなく見ているこちらが悲しくなってくるほど。
マーティの最後の“Hello???”の連続と“Ahhhhh”のハイトーン、今まで「お、盛り上がってきたな」程度に聞いていたのですが今回、これは苛立ちの咆哮なのだな、と気がつきました。自分の人生が自分の思う方向に進まず、家族は今のマーティからしたら不満だらけの生活に満足して向上心のかけらもない、そんなマーティ家の息子というだけで自分もまとめて怠け者(slacker)扱いされる、行き場のない怒りとむしゃくしゃを「歌」という形で発散している。これぞミュージカル!で私はテンション上がりました。そういうの好きです。
Casey君23日は祝日スケジュールで大連投中でどうも声の調子が悪かったのか、初見の時はもっと歌っぽくサントラに近い音でまっすぐ飛んできた最後のハイトーンが「叫び」に近いような感じだったのですがお芝居としてはかなり良かったです。
27日は調子も戻ったのか芝居もキープしたままバッチリハイトーンぶちかましてくれました。リフまで入ってて最高です。
そしてちんたらちんたら書いていたら、まさかの1幕の5曲目にしてこの文章量になってしまったので不本意ですが前後半に分けようと思います。
というわけで後半もお楽しみに。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
本当はブロードウェイの千穐楽までに上げきってしまいたかったのですがもう明日が千秋楽ですよ…カナシイ…