“Burn” Hamilton 日本語訳


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今回は前回、前々回と感想を書き散らしていたミュージカル“Hamilton”からBurnの日本語訳です⭐️

実はHamiltonの中でこの曲が1番好きです。

W不倫がバレ不倫相手の夫に「見逃してやる代わりに金を払え」と脅されたAlexanderは言われるままお金を払うのですがそのことを政界でのライバルにかぎつけられ賄賂を疑われます。不倫のことを話しなんとか納得してもらったものの1人の人間としての「不倫」というかスキャンダルより政治家としての「賄賂疑惑」というスキャンダルを恐れたAlexanderは自ら不倫の詳細を事細かに綴った文書を発行し、世間に不倫を公表します。その文書で不倫を知ったAlexanderの妻Elizaが内なる怒りの炎を吐露する歌です。

それでは(今のBurnの公式音源がなかったのでFirst Burn、没になったこの曲の前身の動画を貼っておきます)

I saved every letter you wrote me
From the moment I read them
I knew you were mine
You said you were mine
I thought you were mine

貴方からの手紙は全部取っておいてた。

読んだ瞬間から貴方は私のものだってわかったの。「僕は君のものだよ」って貴方は言ったし私もそう思ってた。

Do you know what Angelica said

When we saw your first letter arrive?

She said “Be careful with that one, love
He will do what it takes to survive.”

貴方からの最初の手紙が届いたときにアンジェリカがなんて言ってたか知ってる?彼女は「可愛い妹、あいつには気をつけなさい。彼はきっと自分が生き残るための道を選ぶわよ。」って言ったのよ。

You and your words flooded my senses
Your sentences left me defenseless
You built me palaces out of paragraphs
You built cathedrals

貴方と貴方の言葉に私は夢中になって周りが見えなくなった。貴方の文章の虜になって私は貴方に心を許した。貴方は私をお姫様みたいに扱ってくれて私は貴方を崇めたの。

I’m re-reading the letters you wrote me

I’m searching and scanning for answers in every line For some kind of sign, and when you were mine

The world seemed to burn

Burn

貴方からの手紙を読み返してるの。何か答えが、兆しがあるんじゃないかって一文一文から必死に何かを見つけようとして。貴方が私のものだった時世界は燃えてるみたいだった。燃えていたの。

You published the letters she wrote you

You told the whole world how you brought this girl into our bed In clearing your name, you have ruined our lives

あの女が貴方に書いた手紙を世間に公表したのね。世界中に貴方がどうやってあの女を私たちのベッドに連れ込んだのか知らせて。自分の名誉を守るために貴方は私達の人生を壊した。

Do you know what Angelica saidWhen she read what you’d done?

She said “You have married an *Icarus

He has flown too close to the sun”

貴方が何をしでかしたか知った時にアンジェリカが何て言ったか知ってる?「貴女はイカロス*と結婚したの。あいつは太陽に近づきすぎてしまった」って。

You and your words, obsessed with your legacy

Your sentences border on senseless And you are paranoid in every paragraph

How they perceive you

You, you, you

貴方の言葉も貴方自身も全部貴方の栄光のためにあるのよね。そんなに必死になって文章を書き続けて、他人からの評価に執着して。貴方は自分に夢中なのよね。

I’m erasing myself from the narrative

Let future historians wonder how Eliza reacted when you broke her heart

You have torn it all apart, I’m watching it Burn

Watching it burn

貴方の物語から消えよう。未来の歴史家達に想像させてあげましょうよ。貴方に傷つけられたElizaが何を思ったのか。貴方が壊したものの破片が燃えるのを眺めるの。燃えてるのをただ見てる。

The world has no right to my heart

The world has no place in our bed

They don’t get to know what I said

I’m burning the memories

Burning the letters that might have redeemed you

私が関係のない人達に心を許すなんて思わないで。私達のベッドに他の誰の居場所もない。私が何を言ったのか誰も知ることはないの。思い出も燃やして手紙も燃やそう。後世に残ることがないように。

You forfeit all rights to my heart

You forfeit the place in our bed

You sleep in your office instead

With only the memories of when you were mine

I hope that you burn

もう貴方に心を許すことはない。私達のベッドに貴方の居場所もない。貴方は代わりにひとりで自分の事務所で寝るのよ。貴方が私のものだった時の思い出と一緒に。貴方が燃えてしまえばいいのに。

*「イカロス」とは…?

ギリシャ神話に出てくる少年で父親と一緒にミノタウルスの住む迷宮に閉じ込められてしまいます。父親と2人で鳥の羽を集めロウで固定、翼を作り空を飛んで迷宮から抜け出すのですが父親の「あまり空高く飛んではいけないよ」という言いつけを破り思いのまま空高く飛んでしまったイカロスの翼は太陽の熱でロウが溶けバラバラになってしまいます。イカロスはそのまま落下、海に沈んでしまうのでした。

この曲の何が好きかというと「私は貴方のものだったけど今はそうじゃない」じゃなくて「貴方は私のものだったけど今は違う」とあくまでもElizaが優位に立っている点なのですよね。軽んじられた彼女のプライドが見えて好きです。

それから“I’m erasing myself from the narrative”という歌詞、”That Would Be Enough”という1幕の曲では“Let me be a part of the narrative”「私をその物語の一部にして。」と言っているのに対し、この曲ではハッキリと「私は物語から自分を消しているところ。」と2人の夫婦としての関係が成り立っていた頃の甘いセリフに自らNOを突きつけ、さらにAlexanderの死後のendingシーンでは”I put myself back in the narrative”「物語に自分の存在を戻そう。」とAlexanderがElizaに散々してきた自分本位な仕打ちを全て許してAlexanderの妻であることに誇りを持って死んでいく。このミュージカルだからこそできる同じ台詞(やメロディ)が形を変えて繰り返し出てくる小技が大好きなんです私は!

ありがとうリンマニュエルミランダ!!!

というわけで

お読みいただきありがとうございました☺︎