The Play That Goes Wrongを20at20というディスカウントを使って20ドルで観てきました。
20at20というのは年に数回、各2週間ほどオフブロードウェイの提携作品が「開演20分前にチケットを20ドルで売るよ」というセールの総称です。
普通のrushと同じようにその日に何枚チケットがあるのかはわからず、座席も選べません。ただ20ドルという破格なのでぜひNYでの観劇を計画する際には20at20のタイミングをチェックしてみると良いかもしれません。
今回は最前列の上手端、見切れ席だったのですが私は3年ほど前に一度見たことがあってある程度は脳内補完できるな、という感じだったのでそのまま購入。1番端の席ではないとはいえかなーり見切れたので初見の方は最善サイドブロックは避けた方が安パイかもしれないです。(上手に2階建てのセットがあるためそこそこ舞台奥がそこそこ隠れちゃう。)
The Play That Goes WrongとはMischief Theatre Companyというイギリスのコメディ集団手掛けるGoes Wrongシリーズの第1作。2023年にBroadwayとLAで公演をやっていたPeter Pan Goes Wrong(BW公演にはニールパトリックハリス氏がナレーター役で出ていた)や、Christmas Carol Goes Wrongの舞台プロダクションに加え、テレビシリーズ化もしています。(アメリカではアマプラとかYouTubeで無料で見られるのですが日本で見られるかどうかは不明です。)
この作品は「The Cornley Polytechnic Drama Societyという弱小劇団がThe Murder at Haversham Manorというマダミスを上演する」という二重構造になっています。The Murder at Haversham Manorの中のカーター調査官はThe Cornley Polytechnic Drama Societyの主催者であり、演出家でもあるクリス・ビーンが演じており、そのクリス・ビーン役をChris Lanceleyさんという実際の役者さんが演じている、といった具合です。(伝わりますでしょうか?)

劇中劇であるThe Murder at Haversham Manorのあらすじはいたってシンプルで「お金持ちのCharles Havershamがとある大雪の日に自身の屋敷内で毒殺され、屋敷内は騒然。現場に居合わせたのは弟のCecil、婚約者のFlorence、Florenceの兄でありCharlesの旧友でもあるThomas、そして執事のPerkinsの4人のみ。調査官であるCarterは犯人はこの4人のうちの誰かに違いない、と捜査を始める…」といったかなり定番のマダミスといった感じではあるものの、いかんせんこの劇団はかなりポンコツ。その上ド貧乏。開演前からセットが壊れたり小道具を失くしたりする始末。上演中もアクシデントに次ぐアクシデントでステージマネージャーのTrevorとAnnie含め劇団員全員がてんやわんや。それでも尚なんとか無事に舞台を成功させようとするものの…といったドタバタコメディです。
The Cornley Polytechnic Drama Societyはイギリスの劇団という設定のため、劇中はずっとイギリス英語、かつアガサクリスティ顔負けの本格ミステリー(もどき)なので正直個人的にはかなり英語は聞き取り難いのですが、ドリフよろしくフィジカルで笑わせにきている場面が多いので、英語が苦手な方でも挑戦しやすく、あまり何も考えずに笑える作品かと思います。
会場中にステマネの2人が客席をうろうろしていたり、上演中も客席イジりがあったりと、その日のお客さんに合わせて少しずつ違った雰囲気になるのも楽しいポイント。今回は中学生の団体がいたのでそこががっつりイジられていました。吉本新喜劇とかが好きな方は刺さる人が多いのではないかと。
ちなみにPlaybillもThe Cornley Polytechnic Drama Societyのプログラムのページが数ページあり、劇団の歴史等を知ることができます。
もちろんこの作品だけで見ても十分楽しめるのですが、おすすめなのはこのGoes Wrongシリーズの全制覇。毎度やる演目は違うのですが、The Cornley Polytechnic Drama Societyとその劇団員達は全作品共通なのでそれぞれの劇団員の成長(と退化も)や人間関係の変化等を見られるのが楽しいです。
個人的に好きなキャラクターは役者であるDennis(今作では執事役。)とステマネのTrevor。DennisはThe Play That Goes Wrongでは「セリフ中の難しい単語が覚えられないから手に書いてきたけど発音はわからない」程度のポンコツさだったものの、二作目であるPeter Pan Goes Wrongではセリフが緊張で全とびして終始インカムでセリフをとばしてもらいながら出演、という目覚ましい退化のほどを見せつけてきます。
ステマネのTrevorはシゴデキなんだかとんでもポンコツなんだかよくわからない名(迷)プレーヤー。彼の活躍っぷりは舞台下手側2階部分に設置された専用ブースで見ることができます。舞台に注目しちゃいがちですが、ちょいちょいブースを見上げるとTrevorが頑張って仕事してたりしてなかったりする様子を見ることができるのでおすすめです。

(↑Trevor専用ブース)
上質なミステリー(?)と体を張ったコメディの両方が同時に楽しめて、尚且つオフ・ブロードウェイらしい工夫の凝らされた演出と派手な仕掛けが次から次へと繰り出される、いろんな意味で目の離せない、息つく暇もない作品です。オフブロードウェイ、地方公演での公演に加えて、本国イギリスでも長期ランが行われていますので気になる方はぜひ!

